餌は誰かの落とし物を装う
オフィスの入口や駐車場、エレベーターにあるUSBメモリは、ゴミではなく仕掛けです。必ず誰かが拾う場所に置き、名前や「2026年の休暇」、部屋番号などを書いて、持ち主がいるように見せます。あとは相手が自分で行動する。それがこの手口の狙いです。
働くのは愚かさではなく、助けなければという気持ちです。落とし物を見つけた瞬間、あなたは誰かを助けられる立場になります。返すには、誰のファイルが入っているか確認しなければなりません。するとUSBメモリを接続することが、危険ではなく、きちんとした行為に見えてきます。だから、名前のシールは何も書かれていない本体より効果があるのです。
置かれたUSBメモリのほぼ半分で、誰かがファイルを開いた
2つ目のてこは好奇心で、ラベルの文言がそれをあおります。「機密」「ボーナス」「社内パーティーの写真」など、誰かの秘密を、誰にも見られずにのぞけるという誘いです。本人にとっては、どちらの動機も間違いには感じられません。親切にしているか、ただ好奇心があるだけだからです。
なぜ注意深い人も引っかかるのか
詐欺師が必要としているのは、うぶな人ではなく、忙しい人です。いくつものことを同時にこなし、ちょっとした問題を30秒で片づけたいと思っている瞬間を狙います。注意力が消えるわけではありません。ただ、拾い物のために別の判断をする余裕がなくなるのです。
こんなものに引っかかるのは、うかつな人だけ。私は絶対に引っかからない。
その研究でUSBメモリを拾ったのは、大学のキャンパスにいたごく普通の人たちでした。最も多かった説明は、持ち主を見つけたかったというものでした。この手口が利用するのは、愚かさではなく親切心と焦りです。
その先にあるのは、「セキュリティ担当」を名乗る電話と同じ仕掛けです。緊急性、決められた役割(「助けてくれますよね?」)、他人の権威、そしてお返しをしたくなる小さな頼み。USBメモリは、同じ会話を無言で再現するものです。
見分けるポイント
共通する、かなり信頼できるサインがあります。急いで、ひとりで決めるよう促されることです。本物の依頼なら、いったん止まって別の経路で確認しても問題ありません。公式サイトに載っている番号へ電話する、同僚に聞く、仕事用のアドレスにメールする、といった方法です。2人目が現れるまで、プレッシャーは続きます。
- 拾ったものは、受付やシステム管理者など、担当者のいる場所に届ける
- 緊急の依頼は、メッセージに書かれた連絡先ではなく、自分で見つけた経路で確認する
- いったん間を置く。この手口は最初の数秒を狙っている
- 「持ち主を知るため」に、拾った機器を自分のパソコンや仕事用パソコンに接続する
- 誰かの秘密を約束するラベルのファイルを開く
- 注意していれば、それだけで守られると思う
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あと1分で読み終わり、最後にクイズがあります。 「心理学 → ソーシャルエンジニアリング」にあります
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出典
- Tischerほか「Users Really Do Plug In USB Drives They Find」IEEEセキュリティとプライバシーシンポジウム、2016年:キャンパスにばらまかれた297個のUSBメモリのうち、98%が持ち去られ、約45%でファイルが開かれた。