仕組みはこうです
銀行はお金を預かる一方で、それを貸し出します。預金者が全員一度にやって来ることはないので、少しの準備資金があれば足ります。みんながこの仕組みを信じているかぎり、うまく機能します。
ところが、支払い能力がないといううわさが広まると、預金者が一斉にやって来ます。準備資金が足りないのは仕組み上当然で、健全だった銀行でさえ、数日で破綻してしまいます。
銀行は全員に一度に支払うことができません。これは詐欺ではなく、銀行の仕組みそのものです。だから信頼は飾りではなく、銀行が存在するための条件なのです。
3つの破綻
- 1340年代イングランド王室が戦費の融資を返済しなかったため、フィレンツェ最大手の2社が破綻します。
- 1490年代最も有名な銀行家一族の銀行が、支店による不良融資と、支店との連絡が途絶えたことで崩壊します。
- 1720年将来の利益を約束して取引していた企業の株価が暴落し、数千人の預金者が破産します。
- 19世紀預金者の取り付け騒ぎを止めるため、恐慌時に資金を供給する中央銀行という考え方が登場します。
最初の項目は、今も変わらない脆弱性を示しています。断ることができないほど重要な大口の借り手が借金を膨らませ、返済を拒めば、貸し手まで倒れてしまいます。中世の銀行にとって、その借り手は君主でした。
2つ目の項目は、別の問題を示しています。遠隔地の管理です。各国の支店が融資を実行しても、本店が知るのは数か月後でした。損失が明らかになった頃には、救済するにはもう遅すぎたのです。
最後の項目は、見つかった解決策を示しています。恐慌のさなか、銀行の健全な資産を担保に資金を提供する存在がいれば、取り付け騒ぎは自然に止まります。預金者は、急いで引き出す理由を失うからです。
後に預金保険も加えられました。理由は同じです。預金保険はお金を支払うことによって機能するのではなく、誰より先に引き出そうとする理由をなくすことで機能します。
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出典
- 1340年代のフィレンツェ企業の破綻は、イングランド王室が戦費の融資を返済しなかったことと結び付けられています。最後の貸し手と預金保険という考え方は、預金者の取り付け騒ぎが自己強化していく性質への対応として生まれました。