最初に変わるのは、血液の流れ先
地上では、体は血液が下へ流れ落ちるのとずっと戦っている。首の圧力センサーは「上にこれだけあるなら、血液量は正常」と判断する。システム全体が、縦の液柱に合わせて調整されている。
重力をなくすと、液柱もなくなる。約2リットルの体液が脚から胸と頭へ移動する。顔はむくみ、脚は目に見えて細くなる - 宇宙飛行士自身はこれを「むくんだ顔、鳥の脚」と呼ぶ。頭は軽い風邪のような感覚で、鼻が詰まり、声も鼻声になる。
そっちはどう?
顔が腫れちゃって、1週間寝てないみたい
脚も細くなって、はっきりわかる
それ、長く続くの?
慣れるって言われた。でも風邪じゃないのに鼻づまりが治らない
胸と首のセンサーは体液が多すぎると見て、余っていると判断する。腎臓は体液を排出し始め、最初の数日で血漿量は約10分の1減る。むくみは引くけれど、体内の血液は出発時より少ない。このツケは帰還時に回ってくる。
骨と筋肉は仕事を失う
骨格は完成した構造物ではなく、止まらない工事現場。骨はつねに壊されて作り直され、そのバランスは負荷で決まる。押されたり引っ張られたりする場所ほど、骨は活発に作られる。無重力では圧力がなくなり、大腿部と腰椎の骨は1か月で約1%密度を失う - 地上で高齢になると1年かけて失うより速い。
筋肉も同じ。最初に衰えるのは、体を垂直に支えていたふくらはぎ、背中、首の筋肉。圧迫がないと背骨はまっすぐになり、身長は数cm伸びる。これが飛行の最初の数週間に起こる背中の痛みと関連づけられている。だから宇宙ステーションでは1日約2時間トレーニングする - 体に少しでも「押される」感覚を戻すため。
- 数時間体液が上へ移動し、顔がむくみ、脚が細くなる
- 数日体は血液が多すぎると判断し、血漿の一部を排出する
- 数週間姿勢を支えていた筋肉が縮む - 仕事がないから
- 数か月大腿部と脊椎の骨が目に見えて密度を失う
地球に戻ると立っているのがつらい理由
無重力の中では、体はなんとか対応できる。つらくなるのは重力が再び働くとき。血液は少なく、脚の血管は収縮することを忘れ、立とうとすると頭の血圧が下がって目の前が暗くなる。姿勢を支えていた筋肉は弱り、内耳には、信じ方を忘れた「下」がまた届く。
まだ完全には説明できていないこともある。長期飛行の後、一部の人では視力が変化し、眼球の形や視神経乳頭も変わる。同じく頭部の体液が関係すると考えられているが、正確な仕組みはまだわかっていない。
着陸後の最初の数時間、体はこんなふうに感じる
地球に戻った後、目の前が暗くなることがあるのはなぜ?
無重力で骨と筋肉が弱り始めるのはなぜ?
出典
- NASAヒューマン・リサーチ・プログラムの資料と、長期宇宙飛行の生理学に関するレビューに基づく。
「宇宙での身体」シリーズの続き
サイトで全文公開2本、アプリにさらに3本
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