古い習慣を合図にする
習慣は、合図、行動、短い安心感がつながったものです。新しい習慣でいちばん難しいのは、行動ではなく合図です。夜にストレッチをすると決めても、夜は長く、「今」と教えてくれる瞬間がありません。スマホのリマインダーは別のことをしているときに届き、消してしまいます。
古い習慣には、その瞬間がすでにあります。毎晩歯を磨いていても、いつそう決めたのかは覚えていません。歯ブラシを元の場所に戻す瞬間は、自然にやってきます。そこですぐにストレッチをすれば、新しい行動が1日の中をかき分けて進む必要はありません。すでに機能している別の習慣の合図を使えるからです。
- 古い習慣
- 決まった合図
- 新しい行動
心理学では、こうしたあらかじめ決めたつながりを「もし〜なら、そのとき〜する」計画と呼びます。単純に聞こえますが、疲れている夜に決めるのではなく、頭がすっきりしているときに決めた内容を、実行の瞬間へ移してくれます。ピーター・ゴルヴィッツァーとパスカル・シーランのレビューでは、この計画を検証した研究を約100件集め、効果は中程度でした。後の研究では、効果はより控えめなことが多くなっています。それでも方向性は同じで、つながりをあらかじめ決めている人のほうが、ただ決意した人より実際に行動することが多いのです。
習慣の連鎖が切れる場所
つながりはいつも保たれるわけではなく、切れる場所も予測できます。ほとんどの場合、次の3か所のどこかです。
- アンカーがずれる「朝食のあと」は合図になりません。朝食は7時のことも11時のこともあり、食卓で食べることも、移動しながら食べることもあります。終わりがはっきりした行動につなげましょう。
- つなぐ行動が重い2分の作業なら、さらに2分の行動をつなげやすいものです。歯磨きのあとに1時間運動するのは難しく、合図よりも抵抗のほうが強くなります。
- 支えが動く旅行、病気、リフォームなどで、古い習慣は自然にずれます。それだけに頼っていた新しい習慣は、最初に消えてしまいます。
もう1つ、たいてい「中心となる」1つの習慣に取り組む理由になる期待についてです。運動を始めれば、食事や睡眠、身の回りの整理も自然によくなるという考えは、部分的には支持されています。運動を始めた人の一部では、ほかのことも変わっていました。ただし、この研究は規模が小さく、いつも再現されるわけではありません。説明の1つは、習慣そのものではなく、「私は自分を大切にする人だ」という自己認識です。自動的にほかの習慣へ広がるとは、期待しないほうがよいでしょう。証拠の差ははっきりしています。決まった合図とのつながりは数十件の研究で検証され、効果も保たれています。一方、ほかの習慣への自然な波及は、まだ推測の段階です。連鎖は自分で組み立てる価値があります。
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出典
- ゴルヴィッツァーとシーラン、「もし〜なら、そのとき〜する」計画のレビュー、『実験社会心理学の進歩』、2006年。ラリーほか、習慣の形成について、『ヨーロッパ社会心理学ジャーナル』、2010年。